2012年11月4日

県立美術館移転の根拠、四者合意とは何なのか

 秋田県立美術館の移転について、県職員が発表したプランを四者協議で合意に至ったものであると、県や市がしきりに言っていたが、この四者合意とは、何なのか。
 四者とは、秋田県、秋田市、再開発準備組合(当時)、秋田商工会議所のことである。この四者が、2007年(平成19年)11月27日に、日赤・婦人開館跡地再開発で、県、市、民間が六つの施設を整備することで合意し、公共施設については、「『県は(県立美術館の美術品を所有する)財団法人平野政吉美術館(当時)と調整を図り、藤田嗣治作品を生かした県立美術館を整備』『市は市民の芸術・文化活動、学生の交流、子育て支援を見込んだ施設を整備』すると明記した」(2007年11月28日、秋田魁新報)ということを指している。
 しかし、四者の合意は、秋田県、秋田市という「官」、当時、組合に億単位の貸付をしていたゼネコンを構成員に持つ再開発準備組合と、秋田商工会議所という産業界、「業」が合意したことを示しているにしか過ぎない。県民意思の反映ではない。
 多額の公費が投入される県や市の公共公益施設について、「官」と「業」の癒着した協議の中だけで合意し、施設の建設を決めることがあってよいのか。
 また、県立美術館の移転に関しては、利用者の多くは県民であり、国内外からの来館者である。美術関係者や会社員、工員、店員、教員、学生、主婦などの多様な愛好者の声、ニーズに真剣に耳を傾けることなく、性急に、現県立美術館の藤田嗣治作品を移設するということを「官」、「業」の癒着だけで決めることがあってよいのか。このような行政は県民、市民のニーズからかけ離れたものではないか。
 この「四者合意」という「官・業癒着」は、現県立美術館の美術品の所有者である財団法人平野政吉美術館(当時)に、大きな圧力をかける存在となり、財団は、当初、原則移転反対であったが、結局、現美術館と同じデザインの建物の合成写真まで見せられ、受け入れた。
 このような官・業の協議にしか過ぎない四者の協議、県民の代表が参加していない協議による合意を根拠にした県立美術館の移転は、正当なものと言えるのか。









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