2012年9月28日

藤田嗣治「秋田の行事」、藤田嗣治作品の移転、移設は、「文化の破壊」

 秋田県のウェブページによると、新秋田県立美術館について、「(公財)平野政吉美術財団所蔵の藤田嗣治作品による文化の創造」ということを謳っている。新美術館は、現県立美術館(平野政吉美術館)にある大壁画「秋田の行事」を始めとした藤田嗣治作品、平野政吉コレクションをそのまま移転、移設することを考え、予定しており、「文化の創造」と決して言えない。現県立美術館(平野政吉美術館)は、秋田の資産家・平野政吉と世界的画家・藤田嗣治の永年の交友により、その集大成として、その最後に建てられたものである。そこに収蔵されている平野コレクションとは、離すことができない一括りの「文化」になっており、それによって「文化的価値」を高めている。これからも末永く保存し、次代に伝えて行くべきものである。また、現県立美術館(平野政吉美術館)は、1998年(平成10年)にリニューアル工事が実施されており、外観上、老朽化も見当たらない。この美術館から、「秋田の行事」、藤田嗣治作品を切り離し、新美術館に移すことを実行することは、平野政吉が築き上げた「文化」を壊す、「文化の破壊」以外の何者でもない。



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2012年9月17日

県立美術館の耐震補強工事費について

 現秋田県立美術館(平野政吉美術館)が耐震補強工事をした場合、当初、2008年3月当時、費用は約1億4千円である県は説明していた。さらに、移転新築した場合は県有地との等価交換により、県の現金支出はゼロであり、移転したほうがよいとの説明があった。
 しかし、2010年2月に、県立美術館を移転新築した場合、県有地との相殺分の他に県の想定を遥かに上回る9億円の支出があることが分かると、県は、現県立美術館を存続させる場合、今後10年間で、10億円の費用が発生すると言う数字を出してきた。
 この数字の変化、上昇は一体何なのだろう。
 あくまでも、県立美術館を耐震補強工事を含む改修はせずに、移転新築すると言う前提の下に、都合のいい数字を作為的に出してきたとしか思えない。
 あくまで移転新築に拘らなければならない理由は、一体何だったのか。
 県民のニーズが十分に考えられたのだろうか。
 また、新県立美美術館の建設費は、県有地との相殺分も含め、20億円掛かっている。9億円ではない。
 現地での改修のほうが、費用が掛からないことは、明らかなことだ。



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2012年9月16日

三角形と螺旋階段 ― 写真から見た新県立美術館

 当ブログ著者は、新秋田県立美術館に行く用がないため、訪れていないが、多くの写真を見ると、新県立美術館の特徴は、水庭と螺旋階段、三角形にあるようだ。2階にあるロビーから千秋公園方面を望む屋上に、細長い水槽が造られ、水庭として眺めるようになっていると言う。今までにない眺めだと好意的に見られているようだが、冬場の4ヵ月間はどうなのか。窓から見えるのは「氷の世界」である。また、設計者、安藤氏は現県立美術館の三角形屋根に呼応するように、新美術館は三角形をモチーフとしたと語っているが、現県立美術館の屋根は、三角形を意識して造られた訳ではない。日本宮殿式の流れような双曲線のデザインになっている。現県立美術館は、正倉院を模した高床式の造り、屋根に付けられた丸窓からの採光形式が特徴だ。新県立美術館は、玄関ホールの形、1階と2階を結ぶ螺旋階段の形、上方から見た建物の形が三角形であるなど、設計者のこだわりがあるようだ。螺旋階段は独創性がある一方、「上り下りがきつい」との意見もある。高齢化率、全国一の秋田では、さらに高齢者が増えることが予想され、高齢者への配慮も必要ではなかったのか。
 この美術館と「秋田の行事」を始めとした藤田嗣治作品との関連性は全く見当たらず、藤田嗣治作品の展示に合っているとは、到底、言い難い。



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2012年9月12日

現県立美術館(平野政吉美術館)のデザインを踏襲した合成写真が示され、利用された

 県が、財団法人平野政吉美術館(現公益財団法人平野政吉美術財団)に移転を要請した時、現県立美術館(平野政吉美術館)と同じ外観、デザインをした建物がそのまま、中通一丁目の再開発地区に移転し、交流館などに囲まれている合成写真が県教委から財団に示され、それを見た財団理事が、新県立美術館は現県立美術館(平野政吉美術館)のデザインが踏襲されるものであると認識し、そのことが財団が移転受け入れの判断をした理由の一つになったと言う。2008年(平成18年)3月20日の理事会での採決の結果は、移転賛成が3、反対2、白票1という僅差であった。その後、2010年(平成22年)2月の県議会で、現県立美術館のデザインが全く踏襲されていない、安藤忠雄氏設計の新県立美術館の設計図が示され、ある県議が取り上げ、問題になった。当時、平野政吉美術館名誉館長であった平野誠さんは「賛成する際の条件が反故にされ、騙されたという感じ。信用できない」(平成22年2月5日、週刊アキタ)と憤った。この時の県議会で、新県立美術館取得負担金を含む予算が可決されたため、そのまま、新美術館の移転新築が進められたが、財団が移転を受け入れるか否かを判断する際に、県教委がイメージ図として示した写真に重大な偽りがあった。これを判断材料とした当時の財団理事会による移転受け入れの表決、判断は有効なのか。



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熱しやすく冷めやすい県民性 ― 秋田市中通再開発地区の今後

 8月21日の地元紙の記事に、「なかいち」がオープンして一ヵ月になり、にぎわい交流館や商業施設に、市の想定目標を上回る人が訪れたと報道されていた。オープンに際し、県などが多額のイベント費を費やしていたようなので、そういった効果があったのかも知れない。しかし、一方で秋田県民は熱しやすく冷めやすい県民性であると言われており、多くの秋田市民がオープン当初の人出がいつまで続くものかと冷めた眼で見ているようだ。人口の減少と若年層の県外流出、消費の低迷、人々の消費行動も多様化している中で、多くの人出は見込めないだろう。
 また、この地区にだけ、イベント費など多額の公金を使うこともこれからは許されないだろう。今は市の想定を上回っていても、1年後、2年後、3年後を考えれば、暗澹たる予想が付く。
 尚、秋田市中通再開発事業の総事業費は135億円。約8割が、国、県、秋田市の公費負担となっており、秋田市は、にぎわい交流館、駐車場の取得金を含め、56億円を負担している。



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千秋公園の景観に溶け込む平野政吉美術館


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2012年9月11日

商業主義と県立美術館の移転新築

 現県立美術館(平野政吉美術館)の移転について、初めて県議会で論議されたのは、平成20年2月であったが、その時、ある秋田市民が「美術館は静かな環境の中に置くべきで喧騒の街の中に移すのは反対。県の移転提案にはビジョンがなく理由も不透明の上に美に対する理解もない本末転倒の計画だ」(平成20年3月28日、週刊アキタ)として移転反対の請願書を提出したのに対し、再開発地区近隣の商店街やホテル社長らが,移転して欲しいという陳情をしている。当初から、商業者の利益のために、藤田嗣治画伯の「秋田の行事」が必要だという論理が語られていた。客寄せパンダとして、藤田画伯の絵が必要だと言う論理である。藤田画伯に失礼ではないのか。
 また、今年7月21日に「なかいち」がオープンした際、竣工を祝う新聞広告に、工事を請け負った某ゼネコンのほか、実に84社の地元企業の広告が掲載されていた。結局、県立美術館の新築を含む秋田市中通の再開発事業は、こうした建設関連の人達や商業者が潤うことが主眼のものだったのではないかと改めて思った。



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2012年9月10日

現県立美術館(平野政吉美術館)の耐震性

 7月22日に開催された安藤忠雄氏の講演会を聞いた人の話によると、県から新県立美術館の設計を依頼された当の安藤氏が、現在の県立美術館(平野政吉美術館)の移転について、作品とその時代の建物との関係は大切であるから、今の美術館を残し補強する形にしたらどうかと話したとのことだが、耐震性を理由に移転新築になったとのことだ。

 当時の報道などでは、そのような記事はなかったので、事の真偽は確認できないが、県立美術館の移転新築をする必要があるのかと、改めて思う。

 現県立美術館(平野政吉美術館)の「耐震性」については、一度も耐震調査が実施されていない。県内のある建築士によると「建物自体、開口部が少ない。壁で四方を囲っており、耐震性は比較的高いはず」(平成22年2月5日、週刊アキタ)とのことである。

 現県立美術館(平野政吉美術館)の移転理由とされる建物の「耐震性」すら疑わしい。



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